教材研究ラボ
教室の机で、てんびんを前に消しゴムとのりを持って、どちらが重いか考える3年生の2人

算数3年単元「重さ」

算数算数・3年・重さ

重さ ― 目に見えない量を「単位のいくつ分」で表す

3年「重さ」の教材研究。測定の4段階(直接比較・間接比較・任意単位・普遍単位)を重さでたどり直し、g・kg・tの量感、はかりの使い方、単位のしくみまでを単元計画・第1時の展開・評価規準とあわせて整理する。

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目次
  1. 1. 単元の位置づけ
  2. 学習指導要領のねらい
  3. 量の学習の系統
  4. 理科「物と重さ」とのつながり
  5. 発達の視点:重さの保存
  6. 2. 教材の本質
  7. 2-1. 重さは「見えない量」
  8. 2-2. 比べ方から単位までを重さでたどる
  9. 2-3. 量感を育てる
  10. 2-4. はかりの使い方
  11. 2-5. 単位のしくみ
  12. 2-6. 正味の重さ
  13. 2-7. 重さの計算
  14. 3. 単元計画(例)
  15. 4. 第1時の展開:のりと消しゴム、どちらが重い?
  16. 5. 発問集
  17. 6. 想定されるつまずきと手立て
  18. 7. 評価規準(例)
  19. 8. 板書計画(第1時)
  20. 9. 準備物
  21. 10. 実践に向けたメモ

1. 単元の位置づけ

学習指導要領のねらい

第3学年「C測定」(1)長さ、重さの単位と測定。重さについて示されていることを整理すると次のようになる。

観点 内容
知識及び技能 重さの単位グラム(g)、キログラム(kg)について知り、測定の意味を理解する
知識及び技能 適切な単位で表したり、およその見当を付け計器を適切に選んで測定したりする
思考力、判断力、表現力等 身の回りのものの特徴に着目し、単位の関係を統合的に考察する
内容の取扱い 重さの単位トン(t)に触れる。接頭語キロ(k)・ミリ(m)にも触れる

解説では、とくに次の3点が強調されている。

  • 量感:1kgのものを手で持ち上げるなどの体験を通して、基本的な量の大きさの感覚を豊かにする
  • 計器の扱い:はかりの秤量(量れる最大の重さ)と感量(どこまで細かく量れるか)に気を付ける態度を養う
  • 正味の重さ:(正味の重さ)=(全体の重さ)−(入れ物の重さ)の関係を理解する

量の学習の系統

学年 学ぶ量 比べ方・測り方
1年 長さ・広さ・かさ 直接比較、間接比較、任意単位による比較
2年 長さ(mm・cm・m)、かさ(mL・dL・L) 普遍単位による測定
3年 重さ(g・kg、t)、長さ(km) 導入で比べ方から単位までを重さでたどる、見当付け、計器の選択、単位の関係
5年 単位量あたりの大きさ 重さや人数を面積などで割って比べる

平成29年の改訂で、それまで6年で扱っていた「メートル法の単位の仕組み」は、3年(接頭語キロ・ミリ)、4年(長さと面積)、5年(長さと体積)へと移り、それぞれの量を学ぶ学年で少しずつ関係を考察する形に改められた。3年の重さは、長さ・かさ・重さの単位を並べて共通点を見いだす、最初の大きな機会になる。

理科「物と重さ」とのつながり

同じ3年の理科に「物と重さ」がある。算数の学習と関連を図るよう、学習指導要領でも示されている。

算数(重さ) 理科(物と重さ)
重さを単位のいくつ分で表す 形を変えても重さは変わらないことを調べる
はかりの使い方、目盛りの読み方 体積が同じでも重さが違うことがあることを調べる
g・kgの量感 てんびん・自動上皿はかりで重さを数値化して比べる

算数ではかりの使い方を身に付けておくと、理科の実験がスムーズになる。逆に、理科の「同じ大きさでも重さが違う」という経験は、算数の「見た目では重さは分からない」という導入を支える。どちらを先に扱うかを学年で確認しておきたい。

発達の視点:重さの保存

粘土の形を変えても重さは変わらない、という「重さの保存」の理解は、ピアジェらの研究では9〜10歳ごろに獲得されるとされる(研究上の目安で、個人差が大きい)。同じ教室にもまだ見た目に引っ張られる子がいる。「丸めた粘土と平たくした粘土、どちらが重い?」のような問いに迷う子がいても不思議ではない。 予想とその理由を言ってから、はかりで確かめる。形を戻して、もう一度量る。そうした体験を重ねながら「なぜ変わらないのか」を話し合う活動を組み合わせたい。

2. 教材の本質

2-1. 重さは「見えない量」

量 目で見えるか 比べるときの手がかり
長さ 見える 端をそろえて並べる、ものさしの目盛り
かさ 見える 同じ入れ物に移したときの水面の高さ
重さ 見えない 手ごたえ、てんびんの傾き、はかりの針
  • 大きいほうが重いとは限らない(大きな風船と小さなビー玉)
  • 同じ大きさでも重さが違う(木の積み木と鉄の積み木)

重さは、手に持つか道具を使わない限り分からない。この「分からなさ」から、まず「確かに比べたい」という必要感が生まれ、てんびんで大小が分かると、次に「どれだけ違うのか知りたい」「ほかの人にも伝えたい」という必要感が生まれる。2つめの必要感が、数で表す出発点になる。

2-2. 比べ方から単位までを重さでたどる

単元の導入では、1・2年で長さやかさについて学んだ測定の筋道を、重さでも子ども自身がたどれるようにする。教科書の指導書などでは、てんびんで比べることも、2つを同時に比べる「直接比較」として扱われることがある。

重さの比べ方の4つのステップを示す図。1 手で比べる(両手の手のひらに乗せて持つ、直接比較)、2 てんびんで比べる(両方を乗せて傾きを見る、直接比較)、3 任意単位(のりは積み木5こ、消しゴムは3こ)、4 普遍単位(1円玉1gのいくつ分で量り直すと、のり15g・消しゴム9g)。それぞれ分かることと残る問いを添えている

図の数値は例である(この例では、積み木1こがちょうど3gにあたる)。

段階 重さでの活動 分かること 残る問い
手で比べる(直接比較) 両手に持って比べる 差が大きければ分かる 差が小さいと分からない
てんびんで比べる(直接比較) てんびんに乗せて比べる どちらが重いかがはっきりする どれだけ重いかが分からない
任意単位 積み木(同じ重さのもの)のいくつ分かで比べる 「積み木2個分重い」と数で言える 積み木が違うと数が変わる
普遍単位 1円玉(1g)のいくつ分かで表す 誰とでも比べられる 重いものは1円玉がたくさん要り、手間がかかる → 目盛りで読めるはかりへ

2-3. 量感を育てる

数値だけを扱っていると、「えんぴつ1本が3kg」のような答えにも違和感をもてない。手で覚えた基準をもたせることが大切になる。

基準になる重さ 身の回りのもの 体験のさせ方
1g 1円玉1枚 手のひらに乗せて「ほとんど感じない」重さを知る
100g 1円玉100枚(1円玉だけで100g) 袋に入れて持ち、1gの100倍を感じる(袋の重さが加わるので、全体を量って確かめておく)
1kg 水1L(水だけで約1kg) ペットボトルなどで持ち比べる(容器の重さが加わるので、全体が1kgになるよう量って調整しておく)
1t 水1000L(縦・横・高さが各1mの立方体いっぱいの水) 1m³の大きさを床にかいたり想像したりして、1kgのペットボトルが1000本分と考える

1kgの袋を基準にして、「ランドセルは1kgの袋の何こ分くらいかな」と予想してから量ると、kgの感覚がつながっていく。体重は個人の情報なので、学級で共有させることはしない。

持つことが難しい子もいるので、持つ体験は選べるようにする。机に置いた袋を押してみる、友だちが持つ様子を見て予想する、はかりの数値で比べる、なども認めたい。

2-4. はかりの使い方

学校でよく使うのは自動上皿はかりである。はかりの種類によって、量れる最大の重さや1目盛りの大きさが違う。

確かめること 見る場所 子どもへの言葉
秤量 目盛りのいちばん大きい数 「このはかりは何gまで量れるかな?」
1目盛りの大きさ 小さい目盛りの間 「いちばん小さい1目盛りは何g?」
はじめの位置 何も乗せないときの針 「針が0を指しているかな?」

はかりの目盛りの一部を拡大した図。0g、100g、200gの大きい目盛りがあり、その間がそれぞれ10この間に分かれている。はりは130gを指している。①大きい目盛りの差100g、②間の数10こ(線の本数ではなく間の数)、③1目盛りは100g÷10=10g、④はりは100gから3目盛り先で130g、という読み方の手順が書かれている

量るときの手順

  1. 平らな所に置き、針が0を指しているか確かめる
  2. 量るものが秤量をこえないか、見当を付ける
  3. 量るものを静かに皿の中央に乗せる
  4. 針が止まってから、目盛りを正面から読む
  5. 大きい目盛り(100gごとなど)を読んでから、小さい目盛りを数える

手順はカードにして机に置いておくと、順番を覚えておく負担が減る。目盛りが見えにくい子には、拡大した目盛りの図や、デジタル表示のはかりを併用する。

2-5. 単位のしくみ

長さ・かさ・重さの単位を並べると、共通のしくみが見えてくる。

長さ・かさ・重さの単位を、ミリが付く単位・もとの単位・キロが付く単位・さらに大きい単位の4列に並べた図。長さは1mm→1m→1km、かさは1mL→1L、重さは1g→1kg→1tと、それぞれ×1000の矢印で横につながっている。キロが付くと1000倍、ミリが付くと1000分の1、tは接頭語ではない単位、と添えられている

量 単位 関係
長さ mm、cm、m、km 1km = 1000m、1m = 1000mm
かさ mL、dL、L 1L = 1000mL
重さ g、kg、t 1kg = 1000g、1t = 1000kg
接頭語 大きさ 単位の例
ミリ(m) 1000分の1 mm、mL、mg
センチ(c) 100分の1 cm
デシ(d) 10分の1 dL
(なし) 1 m、L、g
キロ(k) 1000倍 km、kg
  • キロ(k)が付くと1000倍:km と kg
  • ミリ(m)が付くと1000分の1:mm と mL
  • この見方があれば、薬の箱の「mg」を見て「gにミリが付いているから、1gより小さい重さだ」と自分で考えられる

2-6. 正味の重さ

粉や液体のように、そのままでは量れないものは入れ物に入れて量る。

料理で量りにボウルを乗せてから目盛りを0に合わせるのも、この考え方の応用である。テープ図や線分図に「全体」「入れ物」「中身」を書き込ませると、ひき算の意味が見えやすい。

正味の重さのテープ図。全体1kg300gのテープが、左の短い「入れ物200g」と右の長い「中身(正味)□g」に分かれている。下に1kg300g−200g=1kg100gと書かれている

2-7. 重さの計算

同じ単位にそろえてから計算するのが原則。

問題 そろえ方 答え
1kg400g + 800g g どうしを足す:400g + 800g = 1200g = 1kg200g 2kg200g
2kg − 300g 2kg を 1kg1000g と考える 1kg700g
1kg20g を g で 1kg = 1000g 1020g

3. 単元計画(例)

時間数や順序は、使用する教科書と学校の年間計画に合わせて調整する。

次 時 主な学習活動 押さえどころ
1 重さの比べ方 1 のりと消しゴムの重さを、手・てんびん・積み木で比べる 「どれだけ重いか」を数で表したいという問い
2 1円玉(1g)のいくつ分で重さを表す 普遍単位のよさ、1gの意味
2 はかりで量る 3 はかりの目盛りの読み方、使い方を知る 1目盛りの大きさ、秤量
4 身の回りのものの重さを量る g で表す、正確に読む
5 1kgの重さを知り、kg と g の関係を調べる 1kg = 1000g、1kgづくり
3 見当と計器の選択 6 秤量と1目盛りの大きさが違う2〜3種類のはかりを比べ、量るものの重さを予想してから、合ったはかりを選んで量る 「予想した重さを量れるか(秤量)」「必要な細かさで読めるか(1目盛り)」を選んだ理由として記録し、量った後に予想と選び方を振り返る
4 重さの計算 7 入れ物に入れたものの重さ(正味の重さ)を求める 全体 − 入れ物
8 重さのたし算・ひき算をする 単位をそろえる
5 単位のしくみ 9 1t を知る。長さ・かさ・重さの単位を表に整理する k は1000倍、m は1000分の1
まとめ 10 練習、振り返り 学んだことを生活に生かす

4. 第1時の展開:のりと消しゴム、どちらが重い?

学習指導要領解説に示された活動例をもとにした展開。のりと消しゴムが、用意した積み木でちょうどつり合うとは限らないので、教師が事前に量って確かめておく。つり合わないときは、中身を調整した同じ形の容器などを使うとよい(表中の「5個」「3個」は例)。

めあて:重さのちがいを、数で表す方法を考えよう

学習活動 予想される子どもの反応 教師の手立て
1. のりと消しゴムを両手に持って比べる 「のりが重い」「同じくらい」「よく分からない」 意見が分かれたことを板書し、「手でははっきりしない」ことを共有する。手で違いが分かった場合も、「どれだけ違う?」と次の問いにつなげる
2. てんびんに乗せて比べる 「のりのほうに傾いた!」 どちらが重いかは分かったことを確認し、「どれだけ重いのかな?」と問う
3. 長さ・かさの比べ方を思い出す 「ボールペン何本分で比べた」「コップ何杯分だった」 既習の掲示物を示し、重さも「何かのいくつ分」で表せないかと投げかける
4. 積み木のいくつ分で比べる 「のりは5個、消しゴムは3個でつり合った」「ちょうどつり合わない」 同じ重さの積み木を用意する。結果を表に整理する。ちょうどつり合わないときは「5個と6個の間」と表し、もっと小さい単位が欲しいという次時の問いにつなげる
5. 結果から違いを言う 「のりのほうが積み木2個分重い」 数で表すと違いがはっきりするよさを価値付ける
6. 振り返る 「ほかのクラスと比べるには同じ積み木が必要」 次時への問いとして「みんなで使える重さの単位」を予告する

まとめ:重さも、長さやかさと同じように「あるもののいくつ分」で数に表すと、ちがいがはっきりする。

5. 発問集

6. 想定されるつまずきと手立て

つまずき 考えられる背景 手立て
大きいほうが重いと思い込む 大きさを重さの手がかりにしている、材質の違いに着目していない 大きなスポンジと小さな石など、見た目と重さが逆の組み合わせを持ち比べさせる
粘土の形を変えると重さが変わると考える 重さの保存の理解が途中 予想を言ってから量る。形を戻して量り直し、変わらない理由を話し合う
目盛りを読み違える 1目盛りの大きさを確かめずに数える、線の本数を数えてしまう、目盛りが見えにくい 量る前に「1目盛りは何g?」を全員で確認する。大きい目盛りの差を「間」の数でわる考え方を、拡大した目盛りの図で練習する
1kg20g を 120g とする 1kg = 1000g の理解があいまい、位の意識が弱い 位取りの表(kg|百|十|一)に書き込んで考えさせる
2kg + 500g を 502 とする 単位を無視して数だけ計算する 「単位をそろえてから計算」を合言葉にし、式に単位を書かせる。単位を書く欄があらかじめある記録用紙を使うと、書く負担を減らせる
入れ物の重さを引き忘れる 「全体」と「中身」の区別があいまい テープ図に「全体」「入れ物」「中身」を書き込ませる
はかりに勢いよく乗せる・秤量をこえる 道具の扱いに慣れていない 活動の前に扱い方の約束を確認し、見当付けを習慣にする

7. 評価規準(例)

学習指導要領の内容をもとに作成した例。

観点 評価規準 見取る場面の例
知識・技能 重さも単位となる重さのいくつ分で表せることを理解している。重さの単位 g・kg・t を知り、それらの関係を理解している。重さについて、およその見当を付け、適切なはかりを選んで測定することができる 第2時の1円玉での測定、第4・6時の測定の記録
思考・判断・表現 身の回りのものの重さに着目し、単位のいくつ分で表す方法を考えている。長さ・かさ・重さの単位の関係を統合的に考察している 第1時の比べ方の説明、第9時の単位の表の整理
主体的に学習に取り組む態度 重さを数で表すよさに気付き、予想と結果を比べて、単位やはかりの選び方を見直そうとしている 第6時の予想と選んだ理由、量った後の振り返り(発言・記録・操作のどれでもよい)

8. 板書計画(第1時)

左:問い 中央:比べ方 右:まとめ
めあて「重さのちがいを、数で表す方法を考えよう」 ① 手で持つ → 分からない のり:積み木5こ分
のりと消しゴム、どちらが重い? ② てんびん → のりが重い 消しゴム:積み木3こ分
予想(のり/消しゴム/同じ) でも、どれだけ?(赤で囲む) → のりが積み木2こ分重い
③ 長さ・かさのときは「いくつ分」 まとめ:重さも「いくつ分」で数に表せる

左から右へ矢印でつなぎ、「比べる → いくつ分 → 数で表す」という測定の筋道が1枚で見えるようにする。

9. 準備物

  • てんびん(班に1台)と、同じ重さの積み木やおもり
  • のり・消しゴムなど比べる材料(見た目と重さが一致しない組み合わせも)
  • 1円玉(班に100枚程度。数を数えて返却する)
  • 自動上皿はかり(秤量や目盛りの違うものを数種類)
  • 1kgづくり用のビニール袋と砂、または水とペットボトル
  • 目盛りの拡大図、長さ・かさの比べ方の掲示物

10. 実践に向けたメモ

米袋や野菜のコンテナを毎日運ぶ人は、「この箱はだいたい10kg」と手で分かる。その感覚は、数値を暗記するのとは違う確かさをもっている。子どもたちにも、教科書、筆箱、ランドセルと、教室にあるものを次々に持って量る時間をたっぷりとりたい。体で感じる重さと数で表す重さを往復させることが、この単元の核になる。

参考:小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編(文部科学省)第2章「C測定」、第3章第3節「第3学年の目標及び内容」C(1)/同 理科編 第3学年「A(1)物と重さ」